染井吉乃のブログ

とりあえず思いついた事を綴ることから始めよう

武衛…上総広常ロス

鎌倉殿の13人 第15回 足固めの儀式

 

辛い…。こんなにも悲しい気持ちに、こんな序盤でなるとは思わなかった。

今回のキャストの中でも色気を放ち、更にチャーミングで魅力的なキャラクター「上総広常」を演じていた佐藤浩市さんが今回でフェードアウトする形となった。

 

第7回で佐藤浩市さんが登場した時には、こんな大物俳優も出るのね、さすが三谷作品。と高ぶったが鎌倉殿の「13人」にはどうやら含まれていないと知った。

だが、登場時の役どころとしては平家勢力に圧され窮地にあった頼朝に2万の兵を率いて味方する房総勢力では最大の力を持った坂東武者であった。

最大勢力でありながら、鎌倉幕府においてその名前が無いことから、どこかのタイミングで死んでしまうのだろうなとは予想していたが、まさかこんな最期を迎えるとは…。

 

平家討伐の動きを木曾義仲に先手を打たれ、対平家から源氏同士の争いへとなっていく最中、都の情勢ばかりに目を向ける頼朝に対して、御家人たちは嫌気が差し、人質として預かっていた義仲の嫡男「義高」を擁立し頼朝の失脚を企てる。

二分してしまった鎌倉を何とかしようと義時は大江広元と連携し策を練る。
そして義時は、頼りにしていた上総介に謀反の勢力に加わり、その動向を監視調整して欲しいと頼む。

上総介は頼朝を武衛(意味は履き違えているが)と呼ぶほど慕っており、その役割を果たし、謀反の計画は失敗に終わる。

 

上総介の働きに対し大儀であったと褒め讃え、酒を酌み交わす頼朝と上総介。
それに対し、御家人なんざは使い捨ての駒だ、己の道を行けばいいと返す上総介。
上総介がいたから、今の自分がいると言う頼朝に照れ笑いする上総介。

 

しかし、その謀反にあたって何の処罰も無しには出来ないとの事から、誰か一人を見せしめに粛清するというところで名前が挙がったのが、まさかの上総広常。

最も頼りになるものは最も恐ろしい、と上総介の事を脅威に感じていた頼朝が、敢えて上総介を謀反に加担させ、責めを負わせるという策略だったのだ。

承服できないと訴える義時の声も空しく事は進んでいく。

 

そして集めた御家人たちの目の前で、わざと上総介を斬り付けさせ粛清を見せつける事を実行する。
状況が把握できない上総介は義時に助けを求めるが、義時は何もすることが出来ず、ただ俯くことしかできない。

 

そんな中現れる頼朝に悲痛な表情で「武衛…武衛…」と呼びかける上総介。
しかし頼朝は無言のまま、その視線は冷たく…。
堪らず駆け寄る義時に頼朝は、来ればお前も斬る、と言い放つ。
そして梶原景時の刀が上総介の身体を貫く…。
上総介が最期に目にしたのは涙する義時の姿…。

 

上総介は最期のその瞬間、何を思ったのだろうか。

後に見つかった上総介の祈願所には、京に登る前に懸命に覚えた拙い文字で、頼朝の大願成就と東国の泰平を願い、むこう3年の間にすべき事といった内容が綴られていた。

 

これを読んだ頼朝は、一体何を思ったのだろうか。

 

なんと哀しい上総広常の最期だろうか。

この後も頼朝は人を信用することが出来ず、脅威の芽は潰すという考えは変わらないのだろう。史実にも有名な頼朝と義経の関係より前にこんな話があるとは…。

また今回の話が伏線となって物語は進んでいくのでしょうが、兎に角哀しい。
この先、頼朝のひょうきんな一面を描くシーンがあったとして、果たして笑えるだろうか…。

まだまだ先の長い大河ドラマですが、上総、好きなキャラクターだっただけに心折れそうです。

 

ただ、こんな気持ちにさせる俳優陣、佐藤浩市さんの演技に胸が熱くなる。

ある意味、神回。

 

 

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